| GE Smart Mail vol.61 |
| 医療情報 |
オバマ米大統領の医療制度改革 |
今回は、米オバマ大統領の医療制度改革について取り上げてみたいと思います。 米国民の家計の最大支出にあたる医療費ですが、国民1人当たりのGDP比で17.6%を占め、これは他の先進諸国の平均7~11%に比べると突出して高く、しかもこのままでは2017年には20%に達すると予測されています1。米国民の個人破産の半数以上はその高額な医療費の負担が原因と言う調査報告もあり2、高騰する医療費の深刻さを伺えます。また、他の先進諸国と比較して米国は最も医療費を捻出している、一方で、米国人の健康は他国の人々より良好だという実証はありません3。そして、1970年の米国における医療費対GDPは7.2%ですから、現時点の17.6%と比べると急速に伸びているにも関らず、上昇に伴う効果の実証は全くみえない状況です4。 |
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ところで、今回の医療制度改革の中でも、特に柱となるのが医療保険改革です。日本のように国民皆保険制度のない米国では主に、65歳以上の高齢者(Medicare),貧困者(Medicaid)、貧困家庭の子供(SCHIP)を対象とする公的医療保険が存在します。これら公的保険者の割合は全国民の24%で、民間保険加入者の割合は65%、そして残る16%の約4600万人が無保険者(その約1/3は20歳代の若者)になります5。最近の保険業界の合併や経営統合で選択肢が減っていることや、過去8年間で医療保険料が賃金上昇率の約3.7倍の速さで上昇しているなど6、無保険者はますます増加し、支払いの踏み倒しの一因となっています。また、民間保険のほとんどは雇用保険ですが、雇用先によってカバーしている保険プランの内容や範囲は様々で、特に大企業と中・小規模企業の格差は非常に大きいといわれています。 米国民の健康状態も、医療保険及び医療費の高騰に影響を及ぼしています。驚くべきことに米国民のほぼ半分(1億3300万人)が、最低1つの慢性疾患を抱えているといいます7。米国人の死因の70%を占める慢性疾患ですが、中でも特に多いのは循環器系疾患(心臓病や心疾患)、ガン、糖尿病です(図1)。
これらは医療費負担の大きい疾患でもあり、実際、総医療費2兆ドルの75%は慢性疾患患者に投入されている状況です8。一方で、例えばがん検診や予防接種など、「病気の予防」という側面において医療費はほとんど使われていません9。 |
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健全な医療の実現は、このように財政を圧迫する医療費を抑制すると同時に、何千万人に及ぶ無保険者の健康を守ってこそ達成されるものです。改革の手始めとしてオバマ大統領が検討している2010年の予算案をみてみます。
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また、これらを遂行する上でオバマ大統領は以下の8つの方針を守ると約束しています10。
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「医療コストの削減」、「医療保険や医師を自由に選択する権利」、「公平で手ごろな医療の確保」等々、これら医療改革の過程で必要な予算は、10年間で$630Billion(63兆)と政府は算出しています11。オバマ大統領は財源の主な捻出方法として以下の案が挙げています。
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過去、党内外や医療業界間、様々なステークホルダーの利害関係が絡んで何度も頓挫した医療改革ですが、医療のコスト削減、アクセス拡大、質向上という、共通のゴールに一丸となって向かう時は間違いなく迫っており、アメリカ政府はその認識を明確に国民に示しているようです。医療財政の圧迫、地域偏在による医療の質の格差、医師の過重労働・・・。医療問題は、決して米国だけが抱えるものではありません。日本にも医療問題は山積しています。国民一人一人の命に関る医療を、どう立て直すのか。来月7月の議会で法案を可決すべくオバマ政権が率いる医療改革の行方を、世界中が見守っていることでしょう。 |
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