米ハーバード・メディカル・スクール(HMS)のリチャード・ベリエ准教授や杏林大学医学部第二内科学教室の池田隆徳准教授をはじめとする心電学の世界的な専門家グループは、長時間体表心電図(ホルター心電図)を利用した非侵襲的な方法での心臓突然死※1発生リスクの予測成果を、第13回国際ホルター・ノンインベイシブ心電学会(会長:田邉晃久 東海大学医学部循環器内科 教授)のシンポジウムで発表しました(シンポジウムの概要は次ページに記載)。
同シンポジウムのテーマは、「今、心臓突然死はどこまで予測できるのか?(心血管リスクの非侵襲的早期検出)」。従来は困難だった非侵襲的な心臓突然死の発生リスクの事前予測に関する最新研究結果について、日・欧米・アジアの心電学分野における世界的権威6名が紹介しました。
先生方は、長年にわたって蓄積された心臓突然死例数千件のデータの発症前の心電図を解析し、T波交互脈(TWA:T-Wave Alternans)※2やハートレートタービュランス(HRT:Heart Rate Turbulence)※3をはじめ、遅延電位(LP:Late Potential)※4、QT間隔延長※5などから、突然死の原因となる兆候を示す各種波形と心臓突然死発生の相関メカニズムを解明し、心臓突然死を引き起こす条件を抽出。心筋梗塞後および他の心疾患患者に対する、ホルター心電図を利用した非侵襲的な心臓突然死発生リスクの予測を可能にしました。
今回のシンポジウムでの6名の先生の発表を通じて、現在植え込み型除細動器(ICD:Implantable Cardioverter Defibrillator)のインプラント適用基準に使用されている左心室駆出率(LVEF:Left Ventricular Ejection Fraction)に、TWAやHRT、LP、QTなどの指標を組み合わせることで、心臓突然死リスク層別の検出確度が高まることが明らかにされました。
今回日本で開かれたこの国際学会には国内外から多くの研究者が集まり、シンポジウムでの発表には活発な質疑応答も行われるなど、ホルター心電図を利用した非侵襲的な心臓突然死発生リスクの予測には、世界の研究者が高い関心を示していることが伺えました。
心電図解析に関する先生方の研究には、GEが独自に開発した長時間心電図解析システムMARS(マーズ)によるTWA・HRT・HRV・QT、運動負荷試験システム CASE(ケース)シリーズによるTWA、安静時心電計(解析機能付き)MAC5500(マック5500)によるLP・QTなどが用いられました。GEは、命に関わる僅かな心電図変化を計測可能な高性能装置を幅広く発売しており、心臓突然死の診断支援に貢献しています。これらの装置を使用することによって、従来からの非侵襲的検査の中で心臓突然死リスクを層別化することが可能となりました。
シンポジウム概要
日 時: 2009年6月4日(木)15:30~17:30
会 場: 横浜ベイシェラトン ホテル & タワーズ 5階「日輪」
座 長: 青沼和隆 筑波大学 教授ほか
テーマ: 心血管リスクの非侵襲的早期検出 ~ 今、心臓突然死はどこまで予測できるのか?
概 要: 1.「虚血性心疾患の新しいリスク評価法について」
ピーター・ストーン ISHNE会長/ハーバード・メディカル・スクール(HMS)准教授(米)
2.「心血管リスク検出のためのホルター検査におけるTWA」
池田隆徳 杏林大学医学部第二内科学教室 准教授(日)(米)
3.「小児および思春期におけるホルター心電図によるQTダイナミクスの特徴」
LMマカロフ フェデラル・メディコ・バイオロジー・エージェンシー小児科教授(露)
4.「自律神経機能検査に基づく非侵襲的リスク評価法」
ジョージ・シュミット ミュンヘン工科大学 心臓病学教授(独)
5.「アジアにおける心血管リスクのプロファイルおよびその検出」
グォー・ジホン 北京人民病院心臓病学科ディレクター(中国)
6.「ルーチン検査でのTWAによるリスク評価」
リチャード・ベリエ HMS准教授(米)
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※1 心臓突然死は心臓病に起因する予期していない突然の病死のことで、急性症状が起こってから1時間以内の短時間で死亡することが多いため「瞬間死」とも言われる。心臓突然死による死亡者数は世界全体では年間約100万人、日本では年間約4~5万人(心疾患の死亡者数は17万人強)(出典:厚生労働省「人口動態統計」)と言われ、現在年間約数%の割合で伸びている。また、その大部分は心室細動と呼ばれる重度の不整脈が直接の原因となっている
※2 T波交互脈(TWA:T-Wave Alternans)は、心電図波形上のT波の形状(振幅)が、ABABといったように1拍ごとに交互に変化すること。T波は心室の再分極過程を表すため、TWAの発現は心室の再分極過程に何らかの異常があると考えられている。そのためTWAの検出は心室性致死性不整脈による心臓突然死のリスク層別化に有用
※3 ハートレートタービュランス(HRT:Heart Rate Turbulence)とは、代償性休止期(CP)を伴う心室期外収縮(PVC)が出現した直後の洞調律の変動現象のこと。PVC出現直後の2~3心拍の洞心拍が増加(RR間隔短縮)し、その後の4~8心拍の洞心拍が徐々に低下(RR間隔延長)していく。HRTはCP後のRR短縮量を表すTurbulence Onset(TO%)とそれに続くRR延長の速度Turbulence Slope(TS ms/RR)の2つの指数で表される。心筋梗塞後の患者でTO、TSの両指数が異常を示した場合、心臓突然死を引き起こす可能性が高い
※4 遅延電位(LP:Late Potential)は、何らかの病理的変化によって引き起こされた心筋の局所的興奮伝道によって出現する不規則な微小電位のこと。LPには、心室遅延電位(QRS波LP)と心房遅延電位(P波LP)があり、QRS波LPは、主に重症心室性不整脈の発生や心臓突然死発生リスクの予知などの診断指標に、P波LPは心房細動発生機序の検討や発作性心房細動発生の予知、不整脈治療の評価などに有用
※5 QT間隔延長:心電図QT間隔とは心室筋の活動電位持続時間(APD)の平均的な長さを表しており、その間隔が延びること(延長)は致死的な不整脈に繋がる可能性がある
| 販売名称 |
医療機器認証番号 |
| 長時間心電図解析システムMARS |
21300BZY00189000 |
| マルケットCASEシリーズ |
21300BZY00199000 |
| 心電計(解析機能付き)MAC5500 |
21300BZY00198000 |