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企業に期待する社会貢献

飯田さなえ(東京外国語大学アラビア語学科)

 

○はじめに……  今、何故企業は、社会貢献に目を向けるのか
 企業の広告が、この五、六年変化してきた。一見、何の会社か分からない。企業の経営理念を高く掲げたイメージ広告が多くなってきている。
 生活が少しばかり豊かな時代、人々は、便利さを追求し、使い捨て、物があふれてきた。もっと豊かになると、差別化、多様性が求められ、ゴミ、環境問題が問われ、大切なものを失ってきたことに気づいてきたという時代背景もある。
 そして又、この多様性が、バブルがはじけると共に、企業経営も圧迫しはじめた。
 このようなとき、今迄利益追求の企業が、企業としての本来の姿を地球規模で考えはじめた結果、広告にも異変がでてきたのだと思う。
 少し前迄は、メセナといった言葉で、企業が、文化の担い手として後援することが流行った。これも、社会還元としての社会貢献のひとつではあった。
 しかし、企業が収益をあげ、文化に貢献すれば、何をしてもいいかというと、最近の一連の政治の不祥事を見ても、いやちょっと違うよという声があがってきたのではないかと思われる。
 本音と建前を使い分ける日本人的体質の企業も名目上の貢献ではゴマかせないと気づいてきたのだと思う。
 自己中心の企業も従業員も物質的な豊かさだけでは、真の充足感は得られない。社会の中で生かされ、助け合うことに、もっと価値ある心の豊かさがあると思いはじめ、企業の経営理念の一つになり、目を向けてきたのだと思う。

○個人と企業と社会貢献
 そこで、私は、終身雇用の現段階で就職した場合、何か企業と接点はないかと思い、下記の表を作成してみた。
----------------------------------------------------------------------------- 表が入る -----------------------------------------------------------------------------  その結果、最終段階で、共存、社会的貢献という同じ目的に達する事に気がついた。
 身近な社会貢献の方法には、従業員一人ひとりが人間らしい生活をすることも含まれるし、生産物の最初から最後迄責任を持つことも含まれてくる。
 又、他国からの搾取の上に成り立つ利益はないかを考えることも貢献の一つだと思う。
 そして、企業が減益の今、社会貢献の費用を計上し、従業員のボランティア活動の時間を確保し、働きがい、生きがいのある企業としての真の姿勢が問われ、見つめられていると思う。
 このことは、個人にもあてはまるわけで、自分自身を大切にすることにもつながってくると思う。

○経営連鎖
 自然社会は、弱肉強食の食物連鎖によって成り立っているといわれる。
 人間のエゴによる自然破壊により、このことも、少しは変化してきているかもしれない。
 私達の生活からみても
-------------------------------------------------------------------------- 図が入る -------------------------------------------------------------------------- この経営連鎖はしっかり根づいている。
 豊かさと引き換えに、ゴミの山と環境破壊と、ゆとりのない生活に気づき、企業も、私達も、新たな道を今、模索しはじめている。
 供給側だけの問題でもなく、需要側だけの問題でもないことに……。
 私達一人ひとりの生活の見直しから立て直していかないと、この大きなテーマは克服できないと分かってきた。
 例えばゴミ。
 ゴミになるものを買い、ごみの収集、焼却にお金を使い、自然を破壊する。
 個人レベルでは、徒らにものを買わず、吟味して買う。そして大切に使う。
 企業レベルでは、モデルチェンジを減らし、直して使う努力もする。
 良い商品を適正な価格で提供し、働く人にも、自社製品を誇りをもって売ることができれば、モラールも向上し、生きがいも、もっと持てる。
 その結果、他との共存を考える習慣がつき真のゆとりある生活がおくれる。家族、地域のこと迄目が行き渡り、豊かな発想で、社会に貢献できる。
 このように、ゴミ問題一つからでも、経営連鎖の中では、個人レベルで社会貢献できる。ここに、企業との深い連けいを持つと解決の道は近づいてくると思う。
 又、企業のレベルの向上が、個人の生活レベルを上げることであり、自然と人間の調和まで考える企業が、これから残っていくと思うし、残していくことが共存だと思う。
 これと逆に、よく個人で無農薬野菜など調達したり、浄水器を購入したりしているが、安心して食べれる野菜、飲める水を子孫に残せるよう、生産者も消費者も同レベルで考えていかなければならないと思う。
 自分だけ安全なら、とりあえずよいという考えは困る。
 自分も他人も同じ人間として大切だ。
 そして、弱い立場にいる人間は、もっと大切に。このスタンスがないと世界に通用した人間、企業とはなり得ない。
 この小さな考え方の気づきの一歩が、企業としての社会貢献の前提ではないかと思う。
 社会貢献は、相乗効果のある経営連鎖だとも思う。

 ○企業の期待される社会貢献方法
 以上、さまざまの角度から考察してきたが私達は、一体企業にどんな貢献を求めているのだろうか。
 大事なことは、地球的規模の考え方であり、その企業のできる範囲の、最高に考察され、思いやりの含まれた優しい小さな気くばりが原点である。
 方法をいくつか挙げると
一、資源からゴミになる迄責任を持つ。
一、安全性の追求(利益より)
一、企業エゴ。地域エゴをすてる。
一、従業員の福利厚生の充実(高齢化社会への貢献。働く女性の援助→次代の労働力の確保への貢献…)
一、利益の社会的還元(美術館、音楽会、芸術家の育成)
一、地球に優しい商品を受け入れる暮らし方の再提案。
一、勇気を持つ。(歴史の流れの中で企業の果たす役割を考えられる)
一、自然破壊をしない。
一、情報の公開。
一、障害者の自助自立も企業経営の一環に取り入れる。
一、ボランティア、国際貢献も仕事の一部と考える。

 このような簡単なことを真摯にさりげなくすることが、今一番求められていると思う。
 現実に、私は幼い頃、父を亡くしましたが、最近、父の勤めていた会社から遺児年金として、高校卒業迄毎月二万円もらえる事になりました。今は妹が恩恵に浴していますが、企業も、利益を身近な人が還元していく方法を実践したのだと思います。
 小さな事で幸せになれる人もたくさんいるのだと思います。又、ちょっとした小さな不注意で不幸になる人もたくさんいるのです。企業は、見えない社会につながっている事を忘れなければ、信頼されていくはずです。

○最後に
 社会貢献により、企業は、信頼を、個人は働きがい、生きがいを得、共存というところで一致した。
 しかし、国際面から見ると、世界中で、豊かさを享受しない人達もたくさんおり、又、アジアの国々の安い労働力で我々の食生活さえもまかなわれているという現実、つまり、共存では一致した企業と個人ではあるが、国際的に認められるには、企業の姿勢はもちろん、個々人の姿勢も一致しなければならない。
 個々人は、すばらしいが、企業の一員となると動けない企業体質が、日本の今の立場や私達の生き方を如実にもの語っている。
 私達に提言できる風土づくり、個々人のすばらしさを取り入れるだけの器量をもつ企業づくりが社会貢献の一つになってきていると思う。


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