「就職を考える~失敗しない会社選び~」
野田芳成(摂南大学法学部)
失敗しない会社選びとは、私にも会社を選ぶということが、この一年の就職活動を通して成功だったのか失敗だったのかは、わかりません、それは将来本当にその会社に入ってよかったと思える日が来るまではなんとも言えないよう気がします。そういう意味で失敗しない会社選び等はないような気がします。ただ、私の経験で就職活動で大切なのは、何があってもへこたれないことと、けっして自分を卑下したりしないこと、そして、なんと言っても失敗を恐れないことじゃないでしょうか。
私の就職活動は、失敗の連続でした。まず就職活動を始める前の心がまえがいけなかったような気がします。私が就職活動について真剣に考えたのは、三回の一~二月頃で平均的な学生より少し早めだったと思いますが、志望企業を選ぶにあたって、私は、ただ名前のとおりの良い大企業に入りたいということで、とにかく有名企業の資料ばかりを請求しました。私はその時自分が将来どんな仕事をしたいのか、なんてことはあまり考えていませんでした。そして大企業を志望する理由もただ見合時等の反応が良いということと、社会的な信用も高いという安易な考えからでした。でも動機があいまいなものであるのは大企業には通用しないということがすぐに分かりました。最初のいくつかの大企業の面接で、面接官が「会社を志望した理由は」との問いに私は、言ってみれば就職雑誌に出ているような答えしかできず相手に本当にその会社に入って仕事がしたいという熱意が伝わりませんでした。そして、その会社についての突っこんだ質問にも、あまり答えられずにいました。ある会社の面接官に「君は、うちの会社の肩書きだけが欲しいのか、本当にうちの会社がいいというなら、何故、うちの会社がいいのか、うちで何がしたいのか、言えるぐらいにしときたまえ」と言われ、初めて自分の動機があい昧だったんだということに気づきました。
私は、その時に自分のしたいことは一体なんなんだろうかと考えました。
考えながら、喫茶店に入って珈琲を飲んでいると妙な安らぎを感じ、都会の中にオアシスを見つけたような気がしました。とにかく珈琲の香りにひかれて、珈琲を扱う食品メーカーで仕事がしたいと安易な動機ですが思うようになりました。とにかく自分のやりたいことが見つかれば、後はとても気分が楽になりました。そして、その食品メーカーの研究もし、その会社の面接に備えることにしました。でもそれまでは、色々な会社をまわって、色々な人に会って、自分を見てもらって、又自分も色々な人を見ることによって自分を磨くことにしました。それは、それまでに、色々な会社を訪問して人事の方や、リクルーターの方の話を聞いて、かなり学ぶ点があったからです。
一番印象に残っているのは、ある中堅半導体商社の方です。その方は、会社の説明をされてから、正直に「うちの会社は人手が足りないから、人がいくらでも欲しい」と言われ、「今まで会社のいい面ばかりを言ってきたが、本当の会社を知ってもらっていた方がいいと思うので」ということで、会社の倉庫の仕事から、営業所、得意先への商談まで私に見学させて下さいました。こんな会社見学は初めてだったので、多少面喰らいました。又忙しい時間をさいてまでも、本当に会社のことを知ってもらいたいという、その方の誠意にうたれました。おかげで、その会社のいいところも、悪いところも、かなりわかったと思います。普通の会社は、自社の良い面しかアピールしたがらないものですけど、今の学生に嫌われるだろうなと思う様なところもすべて見せて下さいました。それはとても良い体験でしたし、その方は、他社もだいたいこういうところがある等と、色々なことも教えていただきました。結局私は、その会社には行きませんでしたが、その方の正直なところにとても感銘しました。そして私も、誠意のある正直な人間になりたいと思いました。
そして、もう一人、大手百貨店の面接官。そこは、集団面接でした。他の人達が出身大学や自己PRが、すばらしいので、私が言うこともなく黙まってしまって、面接を終えると、その方が、「面接は、あまりその人の言ってることを重視するのじゃなく、その人が、きちんと受け答えができるかどうかを見ているのだから、あまりかたくなってはダメだよ」とアドバイスされました。私は変なコンプレックスに負けそうになっていた時だけに、そのアドバイスは、本当に助かりました。とにかくどんなことでも話ができればいいんだ、自分に優劣をつけていたけど、カッコイイ話なんてしなくてもいいんだと考えると、とても面接が簡単に思えてきたからですし、他の人達に声をかけずに私にアドバイスしていただけたということだけでも、はげみになりました。
その他では、絶対に忘れられないのが、大手商社のリクルーターの方です。この商社は、なかなかアポイントメントがとれないと有名だったのですが、私が行くと何々がリクルーターとして会うので、会社のロビーにいろということでした。私は、時間より、二十分ほど早く待っていたのですが、そのOBの方が来られたのは二十分遅れてでした。多分忙がしいのだなと思いましたが、その方は、無愛想に大学名と名前を聞くとペンを転がして、なんでうちの会社を受ける気になったのか、うちの会社は、一流じゃないと入れない。何かコネでもあるのか等と本当に人をバカにするような態度で話をされました。挙句の果てに、となりの会社を受けろとか、子会社を紹介してやるというような事まで言われ、なんてひどい人間だと思いました。とにかく、学歴重視の人間で、人格は無視でした。私は確かに一流大学出身じゃないが、そこまで言われるほどバカじゃないと思いました。人格的に言って、そのリクルーターの方が下だと思い、そんな人間が日本の一流だと言って海外で仕事をしているのだから、日本の評判が落ちるのも当然だなと少し悲しくなりました。その時は少し自分に自信をなくしたり落ち込みましたけど、世の中色んな人がいるんだと思っていい経験をしたと思うことにしました。まあ一流企業といわれるところは、多かれ少なかれ、こんなところがありました。これも日本の社会なのだということです。
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私の大学は一流ではありません。そして学校の歴史も浅く、OBの数が少ないのも就職活動をするうえではかなり不利な面があります。でも数少ないOBの方も、社会に出てガンバッておられるのだなというのも就職活動で知りました。ある地銀に私の大学のOBがおられ、OB訪問をしたいと言うと、快よく場所と時間を指定されました。私は、その方と会うのは初めてでしたが、その方は同じ大学ということでとても親切にして下さいました。そして、就職活動で苦労したことや、就職してからの苦労や、楽しみを話していただき、仕事に生きがいを感じている。大でも小でも、そんなことは関係なく自分のやりたいことをやれと言われた。本当に充実感のある顔が印象的でした。
7月には、自分の第一志望の食品メーカーの面接がありました。私はその会社の研究をして本当にその会社に入りたいと思っていたので、どんな方が面接されるのか心配でした。普通の面接官の普通の面接を想像していましたが、面接官の第一問は、「君は彼女がいるのかね」でした。私は突然の質問だったので当わくしましたが、「姉によくイジメられて、女性恐怖症になっているのでいません」と答えました。そしたら、二人おられた面接官は、大笑い、こんな面接は意外でした。とにかくとび出す質問は今までの会社とはまったく異なるもので面接慣れできたえた返答法もまったく意味がありません。でもそれだけ自分というものが出せる面接だったと思います。そして私は夢中で、学生時代の話、アルバイトや、友人のことやバカな話をしてしまいました。普通なら時間がくればもういいですと無愛想な返事が返ってくるのにこの会社は違いました。二人の面接官は、じっくりと私の話を聞いてくれました。私は本当にこの会社が気に入りました。次の役員面接でも、役員の方の質問は少し他社とは違いました。「将来何をする気だ」と、普通なら大学時代何をした等の今までのことを聞く人が多いのに、未来のことを聞かれました。私はそれだけで感激して「海外で御社の事業を拡大したい」と答えました。そしたら役員の方は大声で「行って来い」と言われ、スゴイ会社だと思いました。今までのパターンでは、海外に行きたいと言うと決まって語学力はどの程度という質問がくるものですが、私はその会社に内定をもらい、就職することにしました。
私は、就職活動では、けっして成功したとはいえません。内定の数より不合格の方が圧とう的に多いのです。最終的には希望の会社に入れましたが、就職活動を始める前では、とうてい私はどの会社にも入れなかったと思います。就職活動をする前に多くの人は不安だと思いますが、不安なら不安な分だけ会社を訪問してとにかく挑戦して下さい。就職活動は僕に取っては多くを学ぶいいチャンスでしたし、良い社会勉強にもなりました。自分というものを認識できる良いチャンスです。自信をなくしたり、自己嫌悪に落ち入ったりするけど、きっと就職活動を通して、自分を成長させれるし、以前よりタフになってると思います。失敗しないようにするには、何にでも当たっていって、失敗して考えて、色んな人に会って、色んなものを見て、ガンバルしかないと思います。今自分には何も見えないという人もきっと就職活動をするということで何かを発見できると思いますし、意外な自分に気づくと思います。まぁ日本の社会の嫌な部分、学歴社会や、友人の強力なコネ、ブランド志向なんかも見えちゃいますが、そんなものにも負けないぐらいの自分を創り出すこともできると思います。まず失敗は絶対にするものですから、恐れず、負けないで、自信を持ってやるしかないです。就職活動を終わってみると成長したなと自分でも気づくと思います。就職活動は自分探しの長い旅の一歩じゃないでしょうか。