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私は今40歳。製造業の現場で汗を流し、筋肉を使い、油にまみれて働いています。もともとは、接客の仕事をしていました。
接客の仕事は普通の人と反対です。普通の人が遊んでいるときが、稼ぎ時です。
夫婦二人の時はそれでなんの支障もありませんでした。かえって、行楽地も開いているし買い物も楽にできました。
ただ、子供が生まれ、子供との時間を大切に考えるようになると、どうしても、時間がネックになりました。そこで、転職を考えました。普通転職と言えば同業他社が原則と聞きます。ですが、同業他社で、時間が土日休みなどというところはありません。
そこで時間を一番に考えて探していたところ見つかったのが、今いる製造業でした。からだはきついけど、簡単な仕事だよ、と言われ、なんとかがんばろうと入社しましたが、実際に働いてみてびっくり。機械が本当によく故障するのです。
家にある家電品や自動車は、めったに故障なんてしません。だから、機械だって同じだろうと思っていました。ところがそれが大間違い。つまり、大量生産できる商品だと、誌品もチップというか、基板になっていきます。不特定多数、専門知識のない人が買うという前提があるから、こわれにくいようにいろいろな気配りがされているのです。
ところが、会社の機械なんてものは、用途に合わせて作ったハンドメイド。寸法もちがえば、とんかちでへこませたり溶接できりおとしたりの作品です。故障しないほうがおかしい。
そんな中で上司に言われたのが、機械の声を聞けということでした。機械は調子がおかしい時、必ず音を出すというのです。普段との違いをしっかり聞き分けていれば、必ずおかしくなったのはわかるというんですね。
最初のうちは、何がおかしいかも全然わかりませんでした。当然機械を壊してしまい
「何で壊した!」
「壊したんじゃなくて、壊れたんです。」
「いいや!壊したんだ。」
なんて言い合いばかりしていました。そして心の中で“こわれたんだよ!”とすてゼリフを吐いていました。
入社8年ちかくたった最近です。あれ?変だぞ・・・と気づき、手が打てることが多くなったのは。もちろん、今でも、遅かった・・・という時のほうが多いですけどね。
そんな機械との経験を、最近は自分の心の動きにも活かせるようになりました。
このエッセイのテーマにもなっている、まさに“心のメンテナンス”“心の声を聞く”をいうわけです。
心のメンテナンスとは、一体どういうことをさすのでしょう。心療内科とか精神科、コンサルタントのところに行くことでしょうか。
そこまでいくと、もう、メンテナンスを越えて、修理の分野に入ってしまいますね。もっと、我々は、心のメンテナンスをきちんとやって、日常生活の中でなんとか問題を収めるようにしたいものです。
私は自分の心がダメージを受けることを、“心が風邪をひいた”と表現しています。風邪にたとえると、わかりやすいからです。
では、本当の風邪って、どうしてひくのでしょう。風邪のウイルスがからだのなかに入ってきて、悪さをする。簡単に言えばそうです。では、からだの中に風邪のウイルスが入ってきたら、誰でも、風邪をひくのでしょうか。
そんなことはありません。ひく人とひかない人がいますよね。
しっかりからだのメンテナンスをしている人は大丈夫です。たとえば、手洗いうがい。そして栄養のあるものをバランスよく食べ、睡眠をしっかりとる、などということを実行している人は、ひきにくいです。つまり心も、しっかり手をかけてあげるということです。
今の製造牛男の職場に入ったときのストレスというのは、ものすごい大きいものでした。
どなり散らされる、機械はこわれる、工具は飛ぶ、けんかは起きるなどなど、おおよそ、おとなしく笑顔でしゃべっていたもとの職場とはくらべものにならないほどです。
私は初日から、“こりゃ、自分はここで何日も持つまい”と真剣に考えていました。
こんなでっかいストレスをかかえたら吹っ飛んでしまう、と思ったのです。
ところが、意外にも、私は、もってしまいました。
そして今、8年近くたって、仕事にも成れた今のほうが、イライラのストレスは増えているのです。
なぜなんだろうと考えてみました。あんな大きいストレスも大丈夫だったんだ。小さいストレスなんて平気だよ。そんなふうに思っていたのに、心を蝕んでいくのは、原因不明のイライラでした。
ジュラシックパーク2という映画を見に行きました。冒頭に人間の子供よりも小さい恐竜が1頭出てきました。
かわいいなあと思ってみていました。子供がえさをやると、底に同じ恐竜が何10匹も集まってきて気がつくと何百匹・・・そこで画面はきえちゃうんですが、すごく恐ろしかったです。
その場面を見た時、私は映画館の中にもかかわらず、アッ!と大声で叫んでしまいました。いっしょに来た妻はにらみました。
でも、その時わかったんです。
そうか、ストレスってやつは、でかいのが一つだけだと、いかにもショックを受けそうだけど、からだも心も、それだけに向かっていけばいいし、それ一つ解決すればいいと思えます。割にイライラはたまらない。
でも、小さいとげが、からだのあちこちに刺さっていたら、たまらないと思うんです。
ひとつひとつは、たいしたことない痛みだし、命にどうこうでもない。それでも、それがたくさんあったら・・・。なんとなく、すっきりしないというときありますよね。そんなとき、安易に気分転換しよう、ってほかのことしたりしてもダメなことがあります。なにか原因があるときです。
気持ちのよかった記憶のときまで戻ってみます。そしてそこからあった、“プチ嫌なこと”をどんどん書き出していくんです。ありますありあます。そういう時は、どんどん出てきます。書き出してみて、びっくりします。
こんなにたくさんのプチストレスが心をいためつけていたんだとわかります。
書いたらまずほっとします。医者から“風邪ですね”と言われただけでほっと安心して熱や痛みがちょっと下がるのと似ています。
そして今度は一つずつ解決していきましょう。解決できないものはたなあげしましょう。なんとなく理由のわからなかったイライラの原因がわかるだけで、ストレスってかなり減るとおもうんです。
というわけで、私の心のメンテナンスは、自分が何にイライラしているのかを書き出すこと。
そして、一つ一つに向き合っていくこと。ただそれだけで、イライラは半分減ることうけあいです。
ぜひ試してみてください。
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