ナースのためのモニタポケット知識

8.SpO2の観察

8-1. SpO2とは

生体の状態を観察する上で、酸素がどの程度血液に供給されているかを知ることは大変重要なことです。これを知るための指標が動脈血酸素飽和度です。
肺でガス交換が行われた直後の肺静脈における酸素飽和度は100%ですが、血液が末梢に循環するのにつれて徐々に低下し、指先などでは95〜97%程度になります。
パルスオキシメータは、この動脈血酸素飽和度(SpO2)を非観血的かつ連続的に測定できる装置です。従来は麻酔科などで使用されていましたが、採血する必要がなく手軽に測定でき、同時に脈拍数も得られることから、急速に普及してきました。近年では装置も小型化し、睡眠時無呼吸症候群を判定する際のデータにも使われています。

図8-a パルスオキシメータのいろいろ

「S」は「Saturation(飽和状態)」、「p」は「Pulse(脈拍)」、「O2」は「Oxygen(酸素)」の略で、「脈拍から観た酸素飽和度」のことを意味します。「SaO2」と呼ぶ場合もあります(「a」は「arterial(動脈、動脈血)の意」)が、動脈血酸素分圧(PaO2)と混同しやすいこと、パルスオキシメータでの測定値であるということから、なるべく「SpO2」を用いたほうがよいでしょう。

SpO2 : パルスオキシメータを用いて測定した動脈血酸素飽和度
SaO2 : 採血した血液サンプルをガス分析して得た動脈血酸素飽和度
PaO2 : 動脈血酸素分圧
PaCO2 : 動脈血二酸化炭素分圧
【類似した用語・略語に注意】

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8-2. パルスオキシメータの原理

パルスオキシメータは、心拍ごとに指先などの末梢組織に送り込まれる動脈血の酸素飽和度を、その血液の色(赤さの程度)から測定するものです。実際には脈拍ごとの血液中に含まれる酸素をもったヘモグロビン(酸化ヘモグロビン)と、酸素をもたないヘモグロビン(還元ヘモグロビン)との吸光度の比を測定し、間接的に酸化の程度すなわち酸素飽和度を知るという方法によっています。


●酸素を運ぶヘモグロビン…その赤さをみる

酸素を運んでいる動脈血中のヘモグロビン、すなわち酸化されているヘモグロビンは赤色をあまり吸収しません。一方、酸素と結合していないヘモグロビンは赤い色を吸収します。したがって動脈血は赤く、静脈血は暗赤色をしていることになります。
パルスオキシメータでは、この酸化ヘモグロビンがどのくらいあるのかを、可視光と赤外線の2つの光をあてて、その吸光度から計算しています。
実際には、指先の色測定では、動脈血の酸素飽和度だけでなく、静脈血や組織の値も含めて測定しています。しかし静脈血や組織の成分はほとんど変化しないのに対し、動脈血のそれは脈拍に同期して常に変動しています。したがって、その変化している分だけを検出すれば、動脈血のみの酸素飽和度を知ることができます。パルスオキシメータで測定されるSpO2(動脈血酸素飽和度)は、ヘモグロビン全体に対する酸化ヘモグロビンの割合として、%で表示されます。

図8-b パルスオキシメータの原理


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8-3. SpO2の測定のしかた

●プローブの選択

通常は再使用可能な指をはさむタイプ(洗濯ばさみ型)が用いられますが、小児や乳幼児など動きが激しい場合や、感染が問題になるときは、指などに巻きつけるタイプのディスポーザブル型がよく使用されています。また、鼻や耳に装着するタイプがラインナップされている機種もあります。


図8-c プローブの種類

●測定上の注意
  • 血圧測定のカフを巻いた腕(または脚)側で計測すると、カフの加圧時に誤差を生じます。


  • 測定原理上、末梢循環が悪い場合は、SpO2が低い値を示すことになります。当然、色素希釈法による心拍出量の測定のように、血中に色素が注入されると誤差を生じます。


  • プローブの周囲が明るすぎたり、プローブが頻繁に開いたり、末梢循環の異常があってその部分の血流が少なかったりすると正しい測定ができません。


  • 濃いマニキュアが塗布されていると正しい測定ができないことがあるので、除去するか、緊急の場合は指を縦にして測定します(圧迫感があり、外部からの光が入りやすいことに注意)。
 
  • 同じ指であまり長時間の連続測定をしないようにすることも必要です。 指によくフィットするプローブを選択するとともに、適当な時間(目安は6〜8時間程度)で測定する指を代えるようにします。

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8-4. SpO2とPaO2

動脈血酸素分圧(PaO2)とは、動脈血中の酸素分圧、つまり動脈血の中に含まれている酸素の量を圧力の単位であるTorr(=mmHg)で表したものです。 このPaO2とSpO2には図8-dのようなS字カーブの関係があります。正常範囲はPaO2が90〜100Torr、SpO2が95%以上とされており、PaO2が45Torr以下、SpO2が80%以下になるとチアノーゼを起こすおそれがあります。



図8-d 酸素解離曲線


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